「ねぇキルア」

「何。」

「…近い。」

「へぇー。」



目が覚めた瞬間にこれは無いでしょうこれは。

最初はまだ夢の中の幻だと思って、確認のために声をかけたらなんと返事をしたから驚きだ。


近い、と忠告してもそれを聞いているのかいないのか当の本人は興味なさ気に返事した。




どうでもいいから、そこを退いてください。






「へぇーってキルア…退いてくれないと困るなぁ。」

「何で?」

「(何でって…)あたしが起き上がれないから!」



そう、彼はあくまで冷静に、興味なさ気に、でもしっかりとあたしの上に乗っている。

あたしの上にうつ伏せに乗りながらキルアは自分の顔の前で腕を組み、

さっきからそこに顎を乗せてあたしの顔を覗き込んでいる。



それも、異常に顔の位置が近い。(本当に15センチくらいしか間隔が無いんじゃないかと思う)

視界いっぱいのキルアの顔。




「本当にお願いだから退いて…」

、さぁ……」


キルアが僅かばかりしゅんとした顔であたしに言う。



「オレのこと嫌いになった?」



甘える声で、耳元にそんなことを囁く。

いつもの猫被りだって分かっていてもその声で囁かれたら顔が赤くならざるを得ない。



「…バカ、何言ってんのよ。それとこれとは話が違うでしょッ。」

「違わないね。だって最近オレに冷たいし…。愛を感じないし。」

「あ、愛って何よ。恥ずかしいこと言わないでよね!」



私が顔を背けると、キルアが尚も声をかける。






「……あんまり冷たくすると…襲うよ?」







腕組していた手を解き、あたしの顔の両脇に突きながら事も無げにそんなことを言うから、

吃驚して背けた顔をキルアに戻すと、今までも近かったキルアの顔がさらに近くなる。

驚いて目を瞑ると、一瞬間があって笑い声が聞こえた。

何かと思って目を開くとキルアが可笑しそうにクスクス笑っている。



「…な、何笑ってんのよォ…。」

「キスされるかと思った?」

「…!?」


言葉を失ってさらに顔を火照らせたあたしをみて、キルアがニヤりと笑う。



「何、キスしてほしいならしてほしいって、言えばいいのに。」

「えッ!?」



その怪しい笑みを確認する間も十分に与えられないまま、今度は本当に唇を奪われた。

最初こそ押し付けるような感じだったが、そのうち優しいキスへと変わる。

決して何かを強制したり、無理なことを要求したりはしない。


今までに何度も繰り返してきた行為が、今日はやけに長く、何だか恥ずかしい。

体勢が体勢だからだろうか。キルアはいまや四つん這いになってあたしに覆いかぶさっている。


でも密着した体から伝わる温度が、やけに安心感を与えていて。

何だかんだでこの感覚が、とても好きで。




「……、愛してるよ。」


唇を離された直後に、キルアが熱っぽくそんなことを言うから、また顔を染める。


「バカ、恥ずかしいでしょーがッ」


自分の顔が熱くなるのを感じてもっと恥ずかしくなって、素直に言葉を紡げない。



「…はは、照れんなって。」



悪戯っぽく笑う彼に怒りを感じながらも、やっぱり憎めない。


…これってやっぱり、惚れた弱み、なんだろうか。








「……もん。」

「え?何?」

「…る、もん。」

「聞こえねーって。」



あたしが小さな小さな声で言った言葉。当然、全部キルアに聞こえるはずも無く。





「聞こえなかったんなら、教えなーい。」

「…はぁ!?気になんだろー!」









言ったら付け上がるから、今は軽々しく言ってあげないの。









『愛してる、もん。』











スネてるキルアに、今度は自分から顔を近づけて。












まいあまいくちづけをきみに



キミだけに、とろけるほど甘い、極上をあげる。



































































+++++
あとがき

キルア甘!こんなに甘甘したのは久しぶりに書いたかもしれません。

甘といったらこういうじゃれ合いしか思い浮かばない低脳輝月です。

発展させようと思えばどこまでも行きそうな勢いである意味怖いドリー夢でした。



二万打御礼、ゆまさんへ送ります。リクエストどうもありがとう御座いました!

ゆまさんのみお持ち帰りOKです!


*輝月