珍しく砂糖入りのコーヒーを。












































方、空、ーヒー。









































「よいっしょ…」


ハタから見れば変な光景だ。

部屋の窓から身を半分ほど乗り出して、
その先にある屋根に乗り移ろうとしている姿は
一見身投げを図ろうとしている人にさえ見えてしまう。(かなり怪しい。)

の家は幸い周りに家がない。
周りの人に見られる心配がないからできること。



コーヒーを片手に持つと、ひょいと身軽に屋根へと乗り移った
その屋根の上でそっとカップを口へ運んだ。
一口飲むと、はぁと息をつく。

数ヶ月前には、白い息が口から出たのが面白くて
何度も一口口にしては息を吐くというのを繰り返していたのを思い出した。
いつでもコーヒーを飲むクセは直らなくて、
其のクセを知っている「あいつ」は
数ヶ月前からのの家にほぼ毎日来る常連になっていた。


今日は、星空も良く見えた。
いつもの無糖のコーヒーに珍しく砂糖を入れたら
気分がほんわかかしてきて星が一層輝いて見えた。











呼びかけられてはっと我に返った。
屋根の下から、おい、とでも言わんばかりの顔をしたサスケが
手をこちらにヒラヒラさせてこちらを見上げていた。







そう、彼がの家の常連である。















「合鍵もってんでしょ、勝手に上がっていいよ」


少ししてからサスケも屋根にあがってきた。
ずっとこんな風に二人で空を見上げるのが日課になってて
雨の日でも家の中でいつでもコーヒーを一杯。


「喫茶店じゃないんだようちはー。そろそろ料金でもとろうかな」
「冗談じゃない、たかがコーヒー一杯だろうがよ」


は笑って、冗談だよ、とサスケのほうを見た。
自分より年上のクセに、屈託の無い笑みをするに、
サスケは思わず頬を染める。
暗がりだから当然は気付いていないのだろう。




実は今日、特別な日なのだ。
それはサスケにとっても、にとっても。

誕生日が同じになるなんて、360分の1の確率なのに、
二人は見事に同じ日付に生まれてきた。

それとなく二人の様子もそわそわしたものだった。



「ねー、人間って何で歳とるのかな。」
「……は?」


あまりに素っ頓狂なの質問に
サスケは飲もうとして口まで持っていったコーヒーカップを引いた。


「そりゃ…生まれてから何年生きてるか数えてるだけだろ」
「あーッ…もぉサスケは夢がないよっ!」


あたしはね…

はコーヒーカップを両手で包み込むようにもつと、
一口だけ飲んで、空を見上げた。



「神様が、あたしたちが退屈しないようにしてくれてるんだと思うの。」
「退屈?」
「そ。だって歳をとれば段々シワも増えてくるし体力も落ちるし…
 あ、あたしだってずっと若い今のままで居たいとも思うけど、
 それじゃあずっと変わらない生活しか出来ないじゃない。」


サスケにはいまいちピンとこなかった。


「じゃあ歳をとると…って考えたら?
 今のあたしたちじゃしないようなこともするようになる。
 新しいことも始めてみたりするし。
 そうしたら、ある意味退屈しないじゃない?」
「……オレは、歳なんかとりたくないな」


何で?と言うようにがサスケの方に顔を向けた。


「退屈でもいい…だから、このまま変わらないでいてほしい。
 今のままがオレにとって一番幸せなときだから。」




え、ちょっとそれって………




「サスケって何処までもスカしたガキよね…」
「んな…ッ!」

無糖のコーヒーとは正反対の甘いコーヒー。
何で今日は砂糖を入れる気になったんだっけ。

あたしは気分がいいと普段と違うことがしたくなる癖がある。
じゃぁ…今日は気分が良かったってこと?


「誕生日だからか……」
「え?」


きっとあたしが心の中で祝福したいと思っているのは
あたしだけじゃないと思うけど。



「とにかく……オレは、時が進まないことも悪くないと思う。
 だって…こうしてずっとのことを見ていられるから。」






不意に暗闇の中でサスケの顔が見えて
頭の中がショートしそうなくらいドキッとした。

さすが、アカデミー1のモテ男…ってわけ。

同年代の女の子がもしも今の視線を向けられたら
卒倒してしまうんじゃないかと思うくらい。
それはもう、嬉しい悲鳴を高らかにあげてね!





「な…何恥ずかしいこと言ってんのよ!」
「本当のことだ。」






そういって不適に笑って見せたサスケは
やっぱりただの十二歳には見えなかった。



……天性の美貌…ってやつ…。



しかも本人は全く其れを意識していないから驚きだ。













は…そう思わないのか?」



そして、何でこんなにナルシストと言うか…








「バカ、あたしだってそう思ってるに決まってる。」




















半笑いで言った途端、サスケの顔がぐっと近づいた。

無表情で、あまりにも綺麗で見とれてしまうくらい。

そして一瞬フッと微笑んだ。

そんな笑みにさえ、心臓が跳ね上がる。

視線がそらせなくなる。






そのまま、吸い込まれるように。

















「あー…サスケって格好いいね。」
「何素で言ってんだよバカ…
 それに…お前は気付いてないかもしれないけどお前美人だぜ?」


からかうように、笑う。


そんな所はまだ幼さが残る。


二歳も年下の彼がようやく年下に見えた。




「……来月、中忍試験でしょ。」
「中忍試験…?」
「そ、あたしは上忍じゃない?それの二個下の位。」
「中忍……今はじめて聞いた。」
「えっ?全くカカシも気が利かないわね。」




は、何かを思い出したかのように空を仰いだ。




「ま。絶対に死なないで戻って来るのよ。」
「そんなに…危険なのかよ。」
「忍はいつでも死と背中合わせ。
 あわよくば中忍の資格も取ってきなさいよ!」


ドン、とサスケの背中を叩くと、イテと言ってサスケがにらんできた。


「っはは!とりあえずあたしはもう家に入るからねー」
「お、おい待て!」




後からあせってついてくるサスケを尻目に、
は微笑したのだった。


「サスケ!」

家の中から声が飛ぶ。


「バースデーケーキ買ったの!
 丁度いいから半分こしよーよッ!!」


今度は、サスケが微笑する番だった。





愛しい愛しい彼女に向けて。


























































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あとがき

サスケ誕生日夢ーw

輝月(以下キ):何ニヤニヤしてんのよw
サスケ(以下サ):……(怒)
キ:それにしても二歳年上って微妙なアレだよね!
サ:お前が設定したんだろ。
キ:フ…私はゆがんだ愛情を持っているのさ
サ:黙れウスラトンカチ
キ:うわっ!!聞きました?さんッ!これがこいつの本性!
  …あ、知ってる。そうですか…。
サ:に変なこと吹き込んでんじゃねぇよ。、つき合わせて悪いな。
キ:其れ私のセリフですってー!
サ:読んでくれてありがと…な。


そんなこんなです。【何

*輝月