.。゚+.フェイタン夢。+.゚

































図書館に行こう。


本好きな彼なら、きっとそこにいるだろうと決心したは、
足をフル回転させ、思い切り近道で図書館へ向かった。
















「うわ…此処通らなきゃ…」






最短ルートを行くには、垣根などを越えていかなければならない。

しかし、普通に行くより20分は違うだろう。
多少、自分の身が傷ついてもかまわないから、どうか…。


















フェイタン、そこにいて。


















そんなことになっているとは露知らず、フェイタンは黙々と、
半ばやけくそで本を読みあさっていた。

しかし半分も頭の中に入ってこなくて、一度パタリと本を閉じた。








気になって仕方が無い。

彼女のこと。












自分が去ってしまってからの

彼女のこと。




















きっと彼女は怒ってしまっただろう。

フェイタンでも、それはわかる。
悲しんでいたのも、分かる。


全部、わかるんだ。









のことだったら。











を怒らせてしまったのも、自分だということ。
悲しませたのも自分だということ。



自分だけのせいかといえば、それまた違うのだろうが。




「(こんな気持ちで本読んでても、面白くないね……)」






フェイタンは、今読んでいた本を本棚にしまった。

あんなに読みふけっていた、一押しの本。

が薦めてくれた、その一冊を本棚にしまってしまうと、

なんだか自分の今のいらいらも、全て取れる気がして。

















そんなこと無いってことも、フェイタンには分かっているはずなのに。











































「ごめんなさい!」

「すいません、ごめんなさい」



人にぶつかりながらも、一心に図書館へかける
彼女もまた、フェイタンヘのことしか頭に無かった。




、プレゼントもてきたよ』




あのとき、の目にはフェイタンしか入っていなかったということ。
知っているのは彼女だけ。






そして今最愛の人が、図書館を後にしようかどうか迷っている所だ。





そんなこと、これっぽっちもは知ったものではない。




ただ、ひたすらに駆け抜けて、フェイタンを探す。








「(フェイタン…図書館にいるかな…)」



は図書館の扉の前に来た。


戸を押して、中に入る。













辺りを見回した。













人、人、人。

















休日の図書館では、受験生も少なくない。
そして、クリスマスの図書を読んでいる人も、
あったかい図書館で漫画を読んでいる子供達も、

たくさんいた。








は、その中にフェイタンを探す。


























いない。






















あっちのほうだろうか?
































いない。

































一体何処へ?


































フェイタンはもう図書館にいないのではないかと言う、
一番恐れていた事態が思い浮かんでしまった。












瞬間、














の視界はゼロになった。















真っ暗。




















「え?な、なに!?」

「…、ワタシよ。」

「……!!」





目を押さえる手の力が弱まったので、バッとは後を振り返った。















…いた
















フェイタンは、そこに、どこか恥ずかしそうな、
それとも何も考えていないかのような顔をしていた。

は、思わずフェイタンの手を取る。




「…ごめんね」

「なんで、あやまるか」

「……どなっちゃったから」

、悪いことした違うね」

「…ううん。悪いのは私だよ」




手を取ったまま、はフェイタンから少し視線をそらした。

斜め下に見えるフェイタンを、直視していると涙が出てきそうで。



図書館の、奥まった場所のイスに座って、
罰の悪そうに背中を丸めた。




「ワタシ悪いことしたね」

「……」

が、怒るまで気付かなかたよ」














は、泣いていた。















フェイタンには、が何で泣いているのか分からなかった。

今までは、全部、全部分かっていたのに。



がどうして泣いてしまったのかフェイタンには分からない。



そして、自分が泣かないフェイタンは、予測もつかないのだ。







、何故泣くか。」

「…だって…」

「悲しいこと…あるか?」



はちょっとだけ頷いた。





「フェイタン、来てくれて嬉しかったの…。なのに追い返しちゃって…。
 折角来てくれたのに、ついあんなに怒っちゃって…」





フェイタンが、の言葉を遮った。



「これ、読んでほしいね。」









フェイタンが持ってきたのは、クリスマスの話のようで。












































「…そして、二人は幸せに暮らしました…」

「ワタシも、幸せに暮らしたいよ」

「…え?」

「この二人みたいに、と幸せがいいね」

「……それって、告白ってヤツ…?」

「そうとも言うね」

「いや、そうとしか言わないから」

「……は、ワタシと幸せ、嫌か?」








その本に書かれているのは、
クリスマスの伝説だ。


クリスマスの夜に、一緒に過ごした二人は、幸せになれるという話。









「今日、の家いてもいいか?」

「…いいに決まってるじゃん!」





フェイタンは、の背中をトンとおした。





「そうと決まれば、早く行くね」

「うん」





「その手の治療も、家についたらきちんととするよ」



が近道をしてきたときについたものだろう。
ははっとして、少し顔を赤らめた。




「一生懸命来てくれて、嬉しいね」

「…気付いてたんなら最初から言いなさいよっ!」




笑いながらは、フェイタンの後を追いかけたのだった。




















































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あとがき
フェイタンは恐ろしく難しい…。
おもわず小さな「つ」を入れてしまいそうになる。
フェイタンは、何処まで感情を知っていて、
どこまで分かってくれるのか。
シリアスならかきやすそうだけど、甘となると難しい…。

よければ他の人のもとへも行ってあげてください(^_^;)

*輝月*