.。゚+.キバ夢。+.゚






























「もしもし、キバ?」

「…?どうしたんだ」

「ちょっと話したいことが…」









どうしよう。







どうしよう、どうしよう、どうしよう!!










頭の中で考えていた台詞が一つ一つ白になっていって、
もう既にの頭の中は真っ白になってしまった。
キバは、不思議そうにたずねる。








「な、なにが…」

「い、いいから今から家の前に来てっ!!」









その続きも聞かぬうちに、が大声で叫んだものだからキバは思わず
耳から受話器を遠ざけた。


遠ざけた受話器から、ガシャンと電話を切る音が聞こえたのがほぼ同時。

キバは何がなにやらあっけにとられ、取り合えずコートを着込んで
家へ向かったのだった…。








がおそるおそる玄関の窓から外の様子を覗くと、キバがそこに立っていた。
ポケットに手を突っ込み、いつものコートを着用している。

は玄関をそっと閉めると、プレゼントとはまた違う袋を持ってキバの待つ門へ向かった。







「あ、




しゃべるたびにキバの口から白い息が出ている。
外はほんの少しだが、雪がちらついていた。




「ごめんね、急に呼んだりして…」

「あ?いいよ別に。どうせ暇だったしよ…ところで、なんなんだ?」

「え、その……」

「はっきり言えよな。ほら、さっさと言わないとお前風邪引くぞ?」

「大丈夫よ、小雪だもの」



は後ろ手に袋を開けると、キバに駆け寄った。









さっ








キバの首に何やらふわりとした感触。手を触れてみると、マフラーだった。


、これ……」

「あの…手編みなんだ……ごめん、ちょっと不細工だよね」



キバのほうを見ると、なにやらマフラーをくんくんしている。



「…な、キバ?」

「なぁ、なんでこれ、シカマルのにおいすんだ」



































ギクッ










































「へ?シ、シカマルのにおい!?」

「ああ、間違いねえ。このにおいはシカマルだぜ」




は改めてあらためてキバの嗅覚の凄さを思い知ったのだった…。

普通の人間では嗅ぎ取ることの出来ないほど、かすかなにおい。
しかしキバにとって見れば、間近でその人のにおいをかぐくらい
はっきりとマフラーからにおいが伝わって来るのだろう。







確かに、シカマルのにおいがしても可笑しくはないか。

なぜなら、そのマフラー、シカマルの……


















「もしかしてコレ、一回シカマルにあげたりしたヤツ?」

「ち、違うよ!!」

「じゃあ、何でだよ」

















どうしよう、シカマルに教えてもらって作ったなんていえない。
いや、正しく言えばシカマルのお母さんに、だ。
だから、毎日のようにシカマルの家に通いつめ、
シカマルのお母さんに編み物を見てもらっていたのだった。














「そういえば最近、って帰るときシカマルの家の方向に行くよな…。
 の家ってシカマルと道違うはずだろ?」

「……」

「これ、返す」





キバは少し寂しそうに、マフラーをはずすと、ずいっとの方にやった。







「こういうのは、ちゃんと上げたいやつにあげなきゃだめだろ!」








決して怒らないキバに悪意は無い。

ただ、を応援したい、と言う気持ちと

シカマルへの軽い嫉妬心。
















本当に想われているのが自分じゃない。
















正直ショックだ。

















マフラーについた、とシカマルのにおい。













そのにおいこそが、キバを傷つける何よりの物的証拠だった。













だけど、だからってどうしろっていうんだ?













傷つけられたから、だから今度はを傷つけろと?













そんなこと、俺には出来ないぜ…













にマフラーを持たせて、自分は最後に笑顔を作る。
じゃ、と手を振って、思い切り駆け出してしまおう。
そうすれば、今の気持ちなんて…きっと…
















振り切れるだろうから。

























が幸せになるなら、それでいいんだ!




























「じゃ、それ、ちゃんとシカマルに渡せよ!」







―まって。




行っちゃやだ……











まってキバ!!!!

































未だ唖然とするを尻目に。

自分は手を振って笑って……。





駆け出そうとして……。
















前に進む力に思い切り抵抗する力を感じた。

















腕を引かれて、上半身だけが後に戻る。



引かれた腕を見れば、が必死にしがみついて、キバをその場にとどめようとしていた。





「………」

「まって!キバ、勘違いしてる!!」

「え?」

「それ……正真正銘、キバにあげようとしたマフラーなの!」

「だってシカマルの…」

「だからそこが勘違いしてるのよ!」






キバは、まだ自分の腕にしがみついたまま、マフラーを胸にかかえて主張するに向き直り、



「…ったく…一から話してくれよ」

「うん」




































二人は一度の家へ入った。



が誤解を全部解いたところで、事件は解決したのだった。







「…なるほどな…。しっかし、毎日シカマルの家に行ってたっていうのは気にくわねー」

「んなっ!だって仕方なかったんだもん」

「…ほら、こんなにシカマル(の家)のにおいがするじゃねーか」









































瞬間、キバはを抱きしめた。







































「えっ!?キ…」

「静かにしろって」








暴れようとするを静止し、キバは言った。







「こーしてれば、あいつのにおいなんて直ぐ取れるからさ♪」











ぎゅっと、痛いほどに抱きしめられて、は身動きもとれずただ
顔を赤くしてうつむいていた。








「…あのね、キバ」

「んー?」












はちろりと後のキバのほうを向くと、言った。










「実はね、もう一個プレゼントがあるの」






は、一度キバから離れると、自分の机の引き出しを開けた。
綺麗にラッピングされたそれを見て、キバが言った。




「それってもしかして、あの時デパートで買ってた……」




こくとは頷き、キバのほうにまた戻ってきた。



「開けてみて?」



包み紙を開けると、一つの箱。




「うおっ、これって……」





「えへへ…ぴったりかなあと思って…」


笑顔にどきりとしながら、キバは笑う。


「だってこれー…」







箱から中身を取り出して、キバはそれをよく見上げた。








「犬のブレスレッドってありかよコレ!」






そこには確かに、犬の形のチャームがついた、銀のブレスレッドがあったのだった。





「サンキュー!…おれもなんかしなくちゃな…っと…」









何か無いかと、ポケットを探る。






ふと、手に止まったもの。









キバははっとした。


















そういえば自分も、あのデパートに行ったときにコレを買っていたんだっけ…












ごそりとそれをだすと、の顔つきが変わった。













「ぷっ……」













「な、なんだよ!!わりーかよ!」











「ううん。なんか、そう言うの買うのって勇気要らない??」












キバの手に持っている犬のぬいぐるみ。

首に巻いてあるリボンには、「Merry X'mas!」と書いてある。




「じゃ、これ」

「ん、ありがと!」



















































「ヒャッホー!!」




木から木へと飛び移るたびに、キバに当たる日光。



その光は確かに、キバの腕にある銀色に反射して輝いた。







「ワンワン!」

「ん?なんだ赤丸」

「ワン!ワン!」

「ちっ…なんだ、もう気付かれちまったのかよ」

「ワン!」

「分かった分かった、違う匂いがするよな」







キバはちょっと嬉しそうに自分の腕を見ると、また大事そうに袖の中へ隠した。










「ヒャッホー!!!」













顔に受ける風は気持ちよく。

昨日のことを思い出すだけで今日の散歩は十倍楽しいものとなった。


































































+++++
あとがき
キバ夢でした〜w今までオフでもかいたこと無かったものです…。
全体的にギャグを目指していたのに、中間のシリアスはなんでぃ!って感じですよ…。
キバは、マンキンのホロと似ている性格な気がします。
よろしければ他の夢もお読みくださいませ♪(輝月)