.。゚+.キルア夢。+.゚
公園に走る。ひたすら…彼がいることを祈って。
そこは、キルアがまだ幼い頃に、と共によく遊んだものだった。
今となってはもう一緒に遊びに行くなど到底しない。出来ない。
特に、がキルアを意識し始めてからは、キルアが楽しそうに
他の男友達とかけっこをしていても、いつものように中に入って行けなくなった。
―あれっきり…か…
息を乱しながら、やっと辿りついた。
あの頃と変わらぬ遊具たちが、少しだけ古びてそこにいた。
なぜか安心感を覚える。ここに、キルアがいるって確信は無いけれど、
最近キルアが落ち込むと、よく此処で気分を晴らしていることは
ちょっとだけ…知っていた…。
だから、今こうやってここにいることで、キルアと同じように気分が晴れていくことが
なぜか嬉しくて。
心だけは、今もあの日のままキルアと一緒な気がしてきて、は少し嬉しくなった。
青いベンチ。
あの頃はまだペンキでいろが塗られていなかった気がした。
は、ベンチにそっと腰掛けた。
ふと、前を見れば、ドーム状の遊具を発見する。
穴が三箇所開いていて、外側には足をかける階段が転々とついていた。
穴は前後、上に開いていて、皆が思い思いに出入りする様を思い出した。
ここは。全部が…全部が昔のままだった。
そう思ったら、遊具に入りたくなって。
の足は知らぬ間に遊具へと進んでいたのだった。
中は暗い。よく見えない。
思えば、先ほどまで晴れていた空も、今は曇りと化している。もくもくと、狭いほどに空を埋め尽くして、雲はいやと言うほど集まっていた。
「……うわっ」
が中に入ろうとしたとき、中で吃驚したような人の声がしたのだ。
のほうこそ吃驚して、後にばっと飛びのいて中の様子を静かに見守った。
変化は起きない。
一体中にいるのは誰なのだろうか?
恐る恐る覗き込むと…
キルアが安座をしていたのだった。
「キ、キルア…」
飛びのいた際にぶつけてしまった後頭を摩りながら、は言った。
キルアのほうも相当吃驚したようで、まだ目をぱちくりさせていた。
「…なんだよ、俺たちのこと追い出しといて…」
「ちがっ…あれは私も言い過ぎたと思ったよ!」
直ぐに弁解するをみて、キルアは可笑しそうに笑った。が顔を赤らめる。
「な、何が面白いのよ!」
「だって、あの時の表情凄かったんだぜ…」
「なっ!」
かぁーっと赤く、熱くなるのが自分でも分かる。
それをみてキルアはさらに笑った。
へへ、と笑うキルアを見て、もなんだか笑いたくなって。
そして、一緒に暫く笑っていたのだった。
暫くして。キルアが口を開いた。
遊具の中で、キルアの声がこだまして聞こえた。
「そういえば、さっきはごめんな。ちょっとはしゃぎ過ぎて…。
が俺達を追い出すのもわけないか」
「ううん。むしろ…」
「え?」
途中で黙ったを見て、キルアはふと、の顔を覗き込む。
下を向いて、じっと、自分のひざを見つめていた。
いけないことを言ってしまっただろうか?
「ごめん…この話しないほうがよかった?」
「違うの」
「何がだよ」
「だからっ…べ、別に嫌じゃなかった」
「はっきり言わないとわからないだろ」
キルアのささやかなつもりだった意地悪も、今のには相当応えるようだ。
はぎゅっと手を握り締めて、精一杯次の言葉を出すことに励んでいた。
「あのね、キルアがきてくれて嬉しかったってこと!」
「え…」
唖然とするキルアを見ては、なによ、と至極恥ずかしそうに顔を赤らめた。
キルアがやっと意味を理解する頃には、自分のひざに顔を埋めて
その真っ赤な顔を隠そうと懸命に頑張っていたのだった。
そんなを見てキルアは、顔を見せないの耳に、そっとつぶやいた。
「オレも、そういってもらえて嬉しい」
が驚いてばっと顔を上げると、キルアがにこりと微笑んだのだった。
遊具の外ではちらちらと小さな小さな雪が、二人を見守りながら降っていた。
ごくたまに、遊具の穴から雪がちらりと中に入ってきては、
二人の足元でしゅうと溶けてなくなるのだった。
「ねぇ、キルア」
「なに」
「えーと、今からでも…パーティ行く…?」
今度はキルアが吃驚する番だった。
キルアは先に遊具からでてのほうに手を差し伸べると
「行こう、」
は小さな出入り口へ身を縮めて体をくぐらせると、キルアの手を取って
「…うん!」
二人は嬉しそうに、ゆっくり家までの道のりを帰ったという。
ちらちらと雪の降る中を。
ホワイトクリスマスに、の家から楽しそうな声が聞こえてくるのはもうすぐだ。
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あとがき
キルア夢でした!ご希望のキャラへたどり着けましたか?
他の場所では、他のキャラたちが待っていました。
キルアとさんは無事にクリスマスを過ごすことが出来たようです。
よろしければ、他のキャラの所へも行ってあげてください…w