.。゚+.サスケ夢。+.゚



























「あぁ、サスケ?」

「うぉっ…火奈か…。何か用かよ」

「何ようぉって…。しかも用があるから電話してんでしょー!」

「るせぇ!…で何のようだ」








電話の向こうのサスケの声は、なんだかあきれているような、早く終わらせたいかのような。
とにかく、今の火奈を他の何よりもあせらせるものだった。




そして、何よりもサスケをからかいたくなるものだった。




「何そのいやそうな声…。別に言ってほしくないなら言わないよー」

「言え」







火奈は、電話のこちら側で腹を抱えて転げたい気分だった。


サスケが一言で済ませようとするときは、照れているときだ。





「あのさ、今日、これからあいてる?」

「特に用事は無い」

「じゃ、うちおいでよ!」

「……!」








言って、火奈は段々自分の顔が赤くなるのを感じた。
今サスケに顔を見られたら、きっと今度は逆にサスケが火奈をからかう番だろう。

氷でも持ってきて顔を冷やしたいくらいだ。







こんな言葉、面と向かってじゃあとてもじゃないがいえたものじゃないな…。






興奮しすぎて取り落としそうになる受話器を、それでもしっかり握って、
受話器の向こうから聞こえる答えを待つ。












「……いいよ」

「え!?ホント!?」

「やけに吃驚してるな」

「だって…サスケのことだからいいって言ってくれないかと思ったもの」







サスケは思ったのだった。




























「(断るわけねーだろ!!)」





















サスケは、逆にこうして火奈からお誘いがあったことを心から嬉しく思い、
そしてそわそわしてしょうがない気持ちをこらえた。



火奈のほうはといえば、電話の向こうでサスケがどんな顔をしているのか
知るすべなど持つはずがなく。

ただ、自分と同じように顔を赤に染めているとは想像しないだろう。






「じゃ、あとでね!」

「おう」


























ううう…っ…やったー!!



















サスケがうちにくるって!?































ガッツポーズをしつつ、火奈は飾り付けられた我が家を見た。

断られることばかり頭に浮かんでいたのに、準備をする手は休めたことが無かった。
サスケが来るなんて未だに信じがたいことだ。































ドア飾り、ケーキ、取っておきの服。


シャンパンに、ご馳走。







って言っても、全部二人分だからいつも使っている小さな机でも
十分足りるほどだった。












そんななか、サスケはやってきた。






いつもの黒い服じゃなくて、ちょっと見違える。
自分も、いつもの服にしなくてよかったとあらためて思った。










寒さで、サスケの顔がほんのり赤くて。











「凄いな…。お前一人で準備したのか?」

「…うん」






感心しつつ、勘のいいサスケは思った。




「(もしかして俺が断ったら他のやつがこの部屋に来ていたということか…?)」





火奈が誘ったのがサスケでなかった場合も上に同じだ。


こんな素敵な部屋に、初めに足を踏み入れたのが自分で心底嬉しい。





ドキドキして、火奈に促させるままに食事をした。
もう半ば頭は白だ。






「ん、うまい」

「本当!?…よかったー…」

「なんなんだよ、その反応」







ふと火奈のほうを見る。火奈はえへへと笑うと、後頭を軽く引っかきながら言った。







「これ、紅さんに教えてもらって作ったんだ。」








目に留まる火奈の手。








「火奈……」

「え?」









サスケは、火奈の両手を、自分の手で包み込むように握った。





































―ここで、お?告白か!?と思った人も少なくないだろう。

しかし、そう上手くいかないのがサスケと火奈だ。














「火奈……こんなにケガして大丈夫か?」


























それでも、ラブラブなことに代わりは無いのだけれど…。





















火奈の手に出来た無数の傷。

どれも小さな切り傷ばかりだが、ここまで集まっていると一目でわかる。
それでも極力目立たないようにしたのか、傷の大きさに合わせて
一番小さなばんそうこうを貼ったようだ。





そんな小さな気遣いで、サスケはもう十分過ぎるほど満足だった。











もう、自分の気持ちもはいてしまおうか。

此処まで、火奈が自分のためを思ってやってくれているのだから…。





















「なぁ……火奈…」


サスケのなかで、告白の決意が固まったのだった。







そんな中火奈といえば、どこか落ち着かないような感じで、
あたりをキョロキョロしている。

依然、火奈の手(片方だけになっていたが)はサスケが握っている。
火奈はもう一方の手をひざに置いている。







「火奈、おれ―…」



ついに、サスケが言おうとしたとき。




サスケの目の前に、小さな包みがずいと出てきた。

「…っ!?」

「サスケ、メリークリスマス!……サスケのこと大好きだからね!」

「――――――――…へ?」

「だ・か・らぁ!す「言わなくていい!」






ちょっと怒ったような、照れたような顔をする火奈をみて、
サスケはこれ以上ないほどにドキドキした。
いつもは男勝りで何でもやってのけてしまうような火奈が
こんな女の子らしい表情をするなんて。


ときめいているサスケを見、
火奈はちょっと不思議そうにサスケの顔を覗いたのだった。



反面。

サスケは、今にも泣き叫びたい気持ちでもあった。



自分の気持ち、自分から打ち明けたかった……。











それが、火奈より後にいうことになるなんて。










これだけは譲らないぞと思っていたことを、あっけなく火奈に
プレゼントと共に告白するという形で崩されてしまった。















だけど、





















今のサスケの心の中にある





























溢れるほどの嬉しさに































かなうものなんて無い。










































ドア飾り、ケーキ、取っておきの服。

シャンパンにご馳走。






もう、これらは二人を盛り上げるための脇役に過ぎない。






その中で、二人は最高に良いムード。




























窓の外では冬空に













降らなかった雪の変わりの






















小さな星が





















月が





















静かに




































優しく二人を見守っていた。





















イヴの夜は深まる……





















































+++++
あとがき
サスケ夢でした!忙殺寸前で書き上げたものです。
余白で多く見せている部分が在ったり無かったり。
皆様にお願いです…その余白を探さないでください…。
もう、「こんなに空いてて良いの?」ってところでも
見てみぬフリをしてください(--,)

*輝月*