お祝いの日
クリスマスを明日に控え、街は賑やかだ。
店の前ではサンタの格好をした人々が客を呼び込み、
客のほうもクリスマス気分に浮かれて色々な店に立ち寄る。
そこで思い思いのものを購入し、綺麗にラッピングされて持ち帰る。
あげる人は…勿論大切な人だろう。そして、そこにいる彼女も例外ではないだろう。
「うひゃー…こんなに綺麗にラッピングしてもらちゃった…」
赤と緑のクリスマスカラーで彩られた袋を大事そうにかかえ、デパートを歩いているのはである。
も、大事な人のためのプレゼントを買った所だ。…さて、問題は此処からだ。
誰にも見つからないように、こっそりこのデパートから抜け出さなければいけない。
なぜなら、ある質問をされたくなかったからだった。とりあえずは此処から脱出しよう。この人通りの多い所では、いつ知り合いに会うかも分からない。
しかし、悪いことがおきませんようにと願っているときほど、悪いことが起こることはない。
少しばかり予想していた最悪の事態がを襲うことになった。
「おー、じゃん!なにしてんの?」
ギク、と後を振り返ると、予想通り。声の主はキバ。そしてその後にはいつものメンバーが出揃っていたのだった。
「皆さんおそろいで…」
が恐る恐る話しかけると…
「ああ、めんどくせーけどやっぱクリスマスのプレゼント買おうと思ってさ」
あぁあ、と一つ欠伸をし、後頭を軽く引っかいているシカマル。
ギク。
「そうそう!あげたいやつは一応いる…し…」
ちろりとのほうを見るキバ。
ギクギク。
「俺はこいつらについてきただけだ」
サスケはあくまで表情を変えずに言ったが。真理はどうなっていることやら。
「クリスマスプレゼント買いに来たんだってばよー!…ところで…それってまさか…」
ナルトはハイテンションなようだ。が。の持っている袋に気がついたもよう。
ギクギクギクーーー!!
は内心冷や汗だらけでその場に凍りついた。一番されたくなかった質問。
そう、このプレゼントについて触れられることだった。
軽く後に隠していたものの、それをナルトに目敏く発見されてしまった。にもう逃げ場はない。
「ほう…。クリスマスのラッピングがされているな」
「へぇ…だれかにやるのか?」
シカマルとサスケが何の躊躇もなく聞いた。のギクリ度(何)はピークに達したのだった…。
はあわててその袋を皆から見えないようにすると、大きく首を横に振っていった。
「だ、誰でもいいじゃない!」
「なんだよめんどくせー。そこまで分かっちまったんなら言っちまえよ」
「教えてくれってばよー!」
「言えよ」
は次々に出てくる講義の言葉にやるせなくなっていた。
やはり見つからずに脱出できる、と自分に言い聞かせて試みたのがいけなかった…。
「言えよ、!」
全員にそうすごまれては一歩後退した。
「うっ」
「なんだ?言えねぇのか?んならオレにくれよ」
普段は控えめなシカマルがイキナリの持っているプレゼントを要求し始めた。こうなると他の人たちも下がっちゃいない。
「オレにくれってばよー!」
「オレもやるからくれよ」
「つーかオレと一緒にクリスマス過ごせよ!」
上から順にナルト・サスケ・キバ。そして間違ってるのが約一名。(誰かはご想像にお任せ)
はも一歩後退した。もう、逃げ場はない。たらりと冷や汗がの頬を伝っていった。
まずい、逃げなければ。
の本能はそう呼びかけている。そうだ。そうだ。断ってしまおう。
はありったけの勇気と言うか、拒絶心を共に断ることを決心したのだった!
「ここにいる誰にもあげませんよーっだ!!!」
べぇ、と舌を出して。自分でも物凄い顔だったと思うくらい顔を崩した。
あっけに取られた男子の方々はその場に硬直していたのだった…。
さてはて、逃げ出したはと言うと。
家に帰り、電気もつけないまま上着を投げ捨て、そのままベッドにどさりと横になる。
ゆっくり目を閉じて、さっきあったことを必死に理解しようと頭は頑張っているのだが、心は追いつかない。
―なんで、ことわっちゃったんだ…―
あの中にいないなんて、とんだ嘘だ。ただ、あまりにたくさんの人がいたから…あんな所ではいえなかったし、
さっきの状態からしてとてもじゃないけど言えることじゃなかった。
小さな小さな吐息と共に、つと小さな涙がの目から零れ落ちた。それと共に、悲しみも少し落ちてくれればいいと思った。
―だめだ。やっぱり言わなくちゃ。そうだ。誤解を招いたままじゃいけない―
は決心したのだった。
これから家に行って言うのは無理そうなので、電話を使うことにして。
さっきとはまた違う勇気を振り絞り、震える指でナンバーをプッシュしたのだった…。
ピッ。
電話に出る音がした。
その電話の声主は…
⇒ナルト
⇒サスケ
⇒キバ
⇒シカマル
其々で別のクライマックスがまっています。
貴方がクリスマスにすごしたいと思うキャラへどうぞ♪